アンチエイジング
「やってはいけない老ける習慣」という本に様々なアンチエイジングに関することが書かれていました。その中には歯科業界で立証されていることも記載されており、当医院の見解と一致していることがありましたので、3点ほどご紹介します。
また、「男こそアンチエイジング」という本があります。男性視点のアンチエイジングは珍しいですよね。後述しますが、特にドライマウス(口腔乾燥症)について書かれていました。
お口の健康維持とアンチエイジング効果で一石二鳥!
1. 口で呼吸すると顔がたるむ!
次の写真を見てください。
いかがでしょうか?
実は、この写真は双子なのです。
どちらがキレイなお顔立ちでしょうか?
通常は顔は前に成長します。 しかし、口を開けていると下に成長してしまいます。 (「床矯正の手引き」 鈴木設矢 著)
口のまわりを輪状に取り囲んでいる「口輪筋」は、顔全体の筋肉と連動しているため、口呼吸でいつも口を開けていると顔がたるんでしまいます。反対に口もとをキュッと締めていれば顔全体が引き上がり、見た目年齢が若くなります。
他にも、口を開けているとウイルスや細菌を取り込むことで病気にかかりやすくなってしまいます。鼻呼吸に替えましょう!
2. かまない女性は太る!
顔の筋肉の7割は口もとにつながっているため、あまりかまずにいると顔全体がたるみます。また、かまないと満腹中枢が刺激されず、食べすぎて太ります。かむと唾液が分泌されますが、唾液はお口の健康に役立つとともに、成長ホルモンの一種であるパロチンも含んでいて、肌の修復を促してくれます。
※関連記事(本サイトへ移動します)
■母親が「よく噛んで食べなさい」と言うんだけど、よく噛むことにどんな効果があるか教えてください。
3.スポーツドリンクは甘い罠!
清涼飲料水500mlに含まれる砂糖は、なんと角砂糖約15個分! スポーツドリンクも香料や酸味料が入っていて甘さに気づきにくいですが、500ml当たり角砂糖約6個分の砂糖が含まれています。夏の熱中症対策としてスポーツドリンクをたくさん飲むと、糖分もたくさん摂取してしまいます。注意しましょう!
男のアンチエイジング~ドライマウスと老化の関係~
口の老化と全身の老化
男が「年を取ったなあ・・・」と実感するのは、昔から「歯・目・男性機能」が挙げられています。老眼で近くの物が見えなくなり、性欲や勃起力が衰え、歯の数も減っていくというわけです。
「口は体の中でも老化を体感しやすい部分です。加齢とともに歯周病で歯がなくなり、口臭が強くなり、口が乾いたり、味覚が鈍くなったりします。」(斎藤教授)
「口のアンチエイジング」の第一人者として知られている鶴見大学歯学部病理学講座の斎藤一郎教授は2005年に歯科大学の付属病院で初めてアンチエイジング外来を開設しました。
そこでは、口の老化を診断するために、5つのチェックポイントを設けています。
1.歯の本数
2.歯周病の進行度
3.唾液の分泌量
4.噛む力
5.嚥下力(飲み込む力)
アンチエイジング外来で、「噛む力と全身の筋力が正比例し、唾液の分泌量が多い人はDHEA(男性ホルモンの一種)のレベルも高かった」というデータが出ており、このことから、「口の老化は全身の老化を反映している」といえます。
口腔疾患で言えば、口の老化によって、歯周病・ドライマウスに悩まされる人がたくさんいます。
生活習慣病を悪化させる歯周病
年を取って歯が抜ける原因は主に歯周病です。歯ぐきが歯周病菌に侵され、破壊されることで、歯を支えられなくなっていきます。歯周病になると歯周ポケットで菌が繁殖するため、口臭も強くなってきます。日本国内で潜在患者数は多く、軽度の人も含めると「30歳以上の8割」は歯周病に罹患しているというデータもあります。
軽く考えてはいけません。歯周病の影響は口の中だけでなく、全身にも及びます。歯周病菌が血液の中に入ると、動脈硬化や糖尿病を悪化させます。新潟大学大学院歯学総合研究科の山崎和久教授らによって、血中の歯周病菌がHDL(善玉)コレステロールを減らし、動脈硬化を進めるメカニズムも確認されました。
PLoS One. 2011; 6(5): e20240
ドライマウスによって老化が加速する-。
50歳を過ぎると、ドライマウスに悩む人が増えてきます。唾液の分泌量が減り、口が乾燥する病気です。健康な人は1日1.5リットルの唾液が分泌されますが、重症のドライマウスでは10分の1になってしまうというデータもあります。
唾液が減るとどうなるのでしょうか。唾液には抗菌成分が含まれています。それが減ることで、細菌・ウイルスにも感染しやすくなり、口の中の常在菌が増えて口臭が強くなり、虫歯・歯周病にもなりやすくなります。ドライマウスがひどくなると舌や粘膜に痛みを感じるようになり、やがて食事をとるのも難しくなってきます。歯周病とドライマウスの共通症状は口臭が強くなることです。
歯周病や口臭を防ぎ、いつまでも若々しい口元をキープするために、唾液の分泌を増やす対策をご紹介します。
1.ブラッシングとクリーニング
基本は毎日の歯磨き。ブラッシングによって歯垢を取り除き、歯ぐきの血行を良くすることが大切です。また、定期的に歯科医院に通い、プロにクリーニングしてもらいましょう。歯周病の進行具合もチェックしてもらうとよいでしょう。
2.ストレスをためない
ストレスはドライマウスの大きな要因です。ストレスが強いと交感神経が優位になって唾液の分泌が減り、リラックスすると副交感神経が優位になって分泌が増えます。上手にストレスと向き合ってください。
3.よく噛む
噛む力が衰えると唾液の分泌量が減ります。食事はよく噛むことが大切です。ゆっくり噛んで食べると、少ない量でも満腹感があるので肥満の予防にもつながります。シュガーレス・キシリトールのガムを噛むのもよいでしょう。
4.タバコを控える
タバコは口臭が強くなるだけでなく、歯周病にもなりやすくなります。ニコチンが歯ぐきの血行を悪くし、タールによって歯垢が落ちにくくなるためだと言われています。
「1万2329人を対象にした米国の調査によると、タバコを吸わない人に比べて1日20本吸う人は4.72倍、31本以上吸う人は5.88倍も歯周病になるリスクが高くなっってしまう」
J Periodontol. 2000 May; 71(5): 743-51.
5.むやみに薬に頼らない
医薬品の副作用でドライマウスが起こることもあります。日本の医薬品の使用量は欧米の40倍と言われています。降圧薬、睡眠薬、抗アレルギー薬、抗うつ薬など、多くの薬に唾液の分泌を抑える作用があります。
6.人と会ってお喋りをする
口の周りの筋肉を鍛えると唾液腺も活性化し、唾液の分泌が増えます。人と積極的に会い、会話をし、口角を上げて笑うことで、自然に口の周りの筋肉が鍛えられます。
おまけ ~ アンチエイジングに役立つ食知識 ~
毎日の食事で気をつけること
1.朝食は生野菜やくだものなどで軽めに
2.生野菜と発酵食品を多く食べよう
3.野菜や海藻→たんぱく質→炭水化物の順に食べる
4.最初に食べるものには酢をプラス
5.炭水化物と動物性たんぱく質はとりすぎない
6.料理に白砂糖とだしの素を使わない
7.よくかんで食べ、腹八分目でストップ
8.夕食は寝る3時間前までにすませる
9.電子レンジ調理はやめる
10.揚げ湯の再利用はしない
おすすめ食材
季節ごとに体に合った栄養素がたくさん詰まっている「旬の野菜」を食べましょう。
旬の野菜のいいところ
・味わいも栄養価も高い
・生育が早いので農薬の使用回数が少ない
・露地栽培のため紫外線によって農薬が減少しやすい
・収穫量が多いので価格が安い
旬な野菜の効果と例
春・・・繊細な風味とやわらかな食感でデトックス効果 そら豆、アスパラ、菜の花など
夏・・・水分&ミネラルが豊富 トマト、ピーマン、ナスなど
秋・・・根菜などで疲労回復 にんじん、イモ類、ごぼうなど
冬・・・免疫力を高め、体力を維持 かぶ、ほうれん草、小松菜など
意外な落とし穴
「野菜を食べなくても、野菜ジュースを飲めば平気なの?」
答えは
×
です!
市販の野菜ジュースには、ある程度のビタミン類やポリフェノール類が含まれています。しかし、製造の過程で加熱殺菌されるため、原材料の野菜に含まれる酵素やビタミンC、食物繊維をかなり失っています。あくまで補助的なものであり、全く野菜を食べなくていいということではないのです。
トランス脂肪酸
『トランス脂肪酸』とは、液体の植物油に水素を添加してつくる油に多く含まれます。例えば、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングに含まれ、これらを使ったパンやケーキ、クッキーやドーナツなどの洋菓子類、スナック菓子、生クリームなどにも含まれます。
2010年の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の報告書では、『トランス脂肪酸が虚血性心疾患の危険性を高めることや、メタボリックシンドロームや糖尿病、心臓突然死のリスクを増やす可能性が高い』と指摘されています。
日本ではまだ馴染みがなく、規制もない状態ですが、アメリカでは2006年12月からニューヨーク市内の外食産業ではトランス脂肪酸の使用が全面禁止となり、2015年6月16日には食品医薬品局(FDA)がマーガリンなどに含まれる『トランス脂肪酸』の発生源となる油の食品への使用を、2018年以降原則禁止すると発表しました。
当面、消費者自身が選択していくことになるため、マーガリン、ショートニング、加工油脂、食用精製加工油脂、加工油、加工脂、ファットスプレッドなどの表示があるものは極力避けていくとよいでしょう。
※参考書籍
「アンチエイジングの鬼・勝田小百合のやってはいけない老ける習慣」
著者 勝田小百合 株式会社オレンジページ
「極上のアンチエイジングレシピ」
著者 勝田小百合 主婦の友社
「男こそアンチエイジング」
伊藤和弘 著 日経BP社